状況や環境が変るのなんて日常だから、
だいじょうぶさ、なんくるないさあ、なんてね、
音が聞けなくて、言っちゃえば人の声に神経質になっちゃって、
それでもなんとかなるさ、治るものでしょそうだったでしょう、ってね。
テーブルの上に無造作に置かれた婚姻届を見たときは、
さすがに、ぐらり、と、したよ。
あわててお湯を沸かす。
淹れたてのコーヒーに温めたミルクをたっぷりと。
マーブルが溶けていくマグカップは、
僕をすっぽりと包みこむ毛布になるからさ。
彼が元気で暮らしていてくれれば
楽しんで過ごしていてくれれば
四年前より、二年前より、そう昨日より、
今は自然に微笑えるのに。それだけなのに。
いっぱいの、オ・レ。
ベージュ色の毛布をひっかけ、
こんこんと、さなぎみたいに動かず眠って、
秋の高く青い朝日の中で、
目を覚ましてみせようか。
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