雨と樹と教会と
右側は色とりどりのツツジの垣根。左側は川沿いに八重山桜の街路樹。雨と風が黄緑の葉を揺らし、花びらを飛ばす。ももいろの絵の具を撒くように、土手へ石畳へ僕の足元へ。樹の間から教会の仄白い壁のクロスが見える。 レンガ造りの市役所へ続く並木路を歩いた。描いてみたいから差した傘をあみだにして歩いた。
行き交う自動者のボンネットに花びらがぴとりぴとり。まるで猫のあしあと。ピンクの、肉球の、ね。 (あ。あ。) おでこにぴとり。どきり、とした。恋人のくちびるの、つめたさ、のような。