きっと煤まみれのバースディカード(習作)

date. 2001

「昨日アイツの誕生日だったんだ。カード送ったよ」

もったいぶった煙草の煙と共に吐き出された言葉
灰色の匂いが強すぎる煙に体をまかれながら
僕はかろうじて君の薄い唇が動くのだけを認めることができた

僕といた時、君はよく以前の彼女の話をしたんだ
どんなにかわいかったのか、どんなにいい子だったのか
別れの時には新しい彼女の話をしてくれたよ
どんなにかわいいか、どんなにいい子か

(それで、
                      君は満足なのかい?)

君の言葉は煙草と似ている
見せかけの優しさはニコチン、有毒なタールを含む
煙は消えていくのに、ヤニは残ってしまう

空のポストと邪魔されない僕の誕生日
まとわりついていた煙をかき消す風が体じゅうを吹き抜ける
見せかけの蝋燭を吹き消そう
チョコレートケーキにナイフをいれよう
灰皿にコップの水をかけておしまい


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