ラスト・ノート |
date. 2001 |
打ち合わせの帰りに立ち寄った花屋で、シャクヤクを買う
「蟻が蜜に群がるほど甘い香りがするんだよ」
咲いた花に顔を寄せてみると、ほんとうに甘い香りがした
そして、この匂いは、僕がいつもつけているクリームと同じであることにも気付く
ひとりになってから、香りに興味を持つようになった
昔の人の思い出の香り、というわけではない
鼻をくすぐらない空間には、すぐ慣れたけれど
サミシイノカナ
香りは、何かを纏う感覚にさせる
それはなんとなく心強い
それでも、
触れられるくらい傍に来なければ、わからない程度に、膝の裏につける
それ以上はつけない
これから出会う君にきちんと抱き締めてもらえますように
どんな香りが好きかなんて気にしない
僕自身の匂いを感じてほしいもの
新鮮じゃなくなったってかまわない
いつも一緒にいられることに勝るものはないもの
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