お茶を飲みましょう

date. 2007.12

レモンバーベナというハーブがある。

レモングラスほどの清涼感はないけれど、とても甘いレモンの香りがする。
葉をちょっと触るだけで匂い立つその良い香りによって、香水木とも呼ばれている。
庭で鉢植えにしてあるレモンバーベナの葉を、5、6枚摘み取り、きれいに洗って、暖めたティーポットの中へちぎっていれる。熱湯を注いで、薄緑色のキレイな香りのよいお茶が出来上がるまで、ダイニングテーブルの椅子に座って暫く待つ。

5月に入ったばかりの頃、松本郊外の「ドマノマ」というイタメシ屋さんで、ランチをしたことがある。 「隠れ家みたいで、通の間ではちょっと知られたお店」と聞いていたが、100年以上も前に建てられたという民家を改造して作られたそのお店は、辺りの住宅と見事に調和していて、うっかりしていると見過ごしてしまうところだった。
格子戸をくぐって、土間の間を通って案内されたテーブルでいただいたペペロンチーノやらドルチェやらは、噂通り「食べることって!幸せだなあ!」って何度も笑っちゃうくらい、とっても美味しかった。

隣で自家製のハーブ園も経営していることを知り、一つ、レモンバーベナの苗を買って帰ってきた。
鉢に植え替えて、一回りも二回りも大きくなった葉を、今、お茶に煎れている。

「どうして、こんなになっちゃったんだろう、って泣いているの。憐れで、可哀想で、たまらないの・・・」
どうか、泣かないで。誰が何が悪いわけでもないんだから。しょうがないよ、静かに過ごしていきましょう。僕も受け止めるから。僕もいるんだから。
あ、そろそろ、お茶が入るよ。だからね、さあ、お茶を飲みましょう。


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