ココンカタルシス |
date. 2007.12 |
思い出は時間を経ると共にろ過されて、キラキラと足元に堆積している。僕は微笑んでいる。「それでも、やっぱり楽しかったよ」って、サラサラと風化されるままにまかせている。
また思い出してしまった。
引っ越したままの未だ必要最低限のものしかない部屋を。
オンラインのパソコンを前にして、震える声で問い掛けたただ一つの本当を、肯定も否定もしなかったあの人のぼんやりした輪郭を。
その後、体じゅうが震えちゃって、どうしようもなく気持ち悪くなってトイレで吐いたのだった。嗚咽も内臓も全てをぐちゃぐちゃと出すようないきおいで、水洗が渦巻く便器の中へ頭を突っ込んでいた。
声なんて思い出せない。顔だってもう、なにもかもよく思い出せないのに、最後の夜のあの部屋のあのシーンだけを、鮮烈に思い出してしまうの。
それだけなの。
忘れたいのに。
忘れたいのに。
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