ぽとんぼとりもあー

date. 2001

春の嵐が梅の花を散らしている
今日こそは、あの甘酸っぱい香りを満喫できると、庭にあるこの花の樹とピトピトしようと思っていたのに、一番いいところを、どしゃぶりにしてやられた

おとついのY新聞に掲載された、池辺晋一郎氏の「桜についての考察」の中の、―梅は近目、椿は中距離、桜は遠目がいい。―という一節を思い出す
なんでも、情感、湿感、量感の違いだそうだ。つまり「梅」について言うと、やれセツナイ、ミレンだとかいうことになれば、ポツンと「梅」に頬寄せる風情が似合うらしい

ああ気恥ずかしいなあ
香りを嗅ぐフリをして、僕は、何を想うつもりだったんだろう?何を囁くつもりだったんだろう?

雨に濡れた樹は、湿った匂いと共に、イキイキと甘酸っぱい花を散らしていた


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